(1)言語能力、学習能力の発達に効果
1984年に出版された、『クシュラの奇跡−140冊の絵本との日々』という本があります。
生まれながらに染色体異常という重度の障害があったクシュラ。1人では見ることも物を持つこともできないクシュラに、母親は生後4か月から絵本の読み聞かせを始めました。
それからというもの、母親は、クシュラに毎日献身的に絵本の読み聞かせを続けました。時には1冊の本を何百回と読んであげました。それにより、クシュラは奇跡的な知能の発達、特に言語に関わる発達に成功しました。
この本は、そんな絵本の力、読み聞かせの効果について実証された、感動的な実録本となっています。
また、それによって、同じ本でも繰り返し読み聞かせをすることで、学習能力発達にいい影響があることもわかりました。
(2)心の成長、情操教育に効果
絵本を読み聞かせ中のときは、聞いている子どもの脳の大脳辺縁系が活発に働きます。大脳辺縁系は、やる気を作りだしたり、喜怒哀楽の感情を生みだしたり、人の基本的行動を決める大切な部分でもあります。
また、絵本の登場人物の心情に共感、同情したりすることで、相手の気持ちを理解する力もつき、情緒安定、犯罪予防に役立つ一面もあります。
(3)考え方の視野が広がり、想像力も豊かになる
絵本を通して、さまざまな世界、人種、職業、考え方などを知り、心と視野の広い人間に育ちます。
また、読み聞かせ中は常にいろいろなことを想像しながら親の声に耳を傾けているので、想像力も豊かになっていきます。
(4)親子のコミュニケーションに効果
読み聞かせの時間は、親と子が寄り添って集中して向き合う時間。子どもが大人になってからも、その大切な時間はいつまでも記憶に残っているものです。できればママだけでなく、ときにはパパも絵本の読み聞かせをぜひやっていただきたいですね。
ちなみに私たち夫婦の場合、6歳の娘に対し、妻と私7対3の割合で、夜寝る前の読み聞かせをしてあげています。毎日ではないですが、娘が、「今日、絵本読んで」と言ってくるときに読んであげています。
ときどき、「今日は、パパが絵本読んで」と言ってきます。そんなときは私の出番です。
ちなみに、絵本は娘が好きなものを持ってきます。
寝る前、布団の上で一緒に横になりながら読んであげます。暗くすると文字が見えないので、電気はつけたままです。
妻は、わりと早めにたんたんと絵本を読むのですが、私の場合は、逆にゆっくりと感情を込めて読みます。登場人物の台詞はキャラクター別に声を変えたり、時に、まんが日本昔話のような音楽も口で言いながら挿入したりもします。
そんな読み方に、娘は大喜びで聞いています。子どもの想像力を損なわせないように、読み聞かせはたんたんと読んだほうがいいと言う人もいます。ですが朗読家ではないので、上手な読み方にさほどこだわる必要もないと思います。大切なのは、子どもが大人になったとき、
「ママの読み聞かせ、やさしかったなぁ」
「パパの読み聞かせ、楽しかったなぁ」
……そんな想い出。
そんな「親子の想い出」こそが、家族への感謝の気持ちだったり、人に対してのやさしさだったり、人間的心の深みを作りだしていくのではないでしょうか。